開智国際大学では、進路・就職支援の一環として「インターンシップ」という授業を設けています。
この授業では、ビジネスマナーの基本を身につけ、有意義な就業体験をすることで、学生が将来の進路選択を行うことを目標とします。
夏休みには、5日間ほどのインターンシップ(実習)に参加します。
実習を経験してきた3名に、「インターンシップ」の授業内容や、実習の様子をインタビューしました。
Lan:「インターンシップ」の授業では、履歴書・自己PRの書き方を教わって、実際に自分で書いてみて提出し、添削を受けるということをしました。自分は留学生だということもあり、かなり直しが必要でした。ふだん日本語を話すことはしていますが、正式な書き言葉やビジネス用語を使うとなると、また違った難しさがありました。
澤:私も、先生とのやりとりを3~4往復ほど繰り返して、直しました。文章が長くなりがちだったので、コンパクトにまとめるように指導を受けました。
東郷:私も添削を受けてかなり手直しをしましたね。ちょっとした言葉づかいなどの細かい部分まで、授業を担当する宮入先生や符先生が添削をしてくださいました。
Lan:この授業で初めて自己PRを書いて、自分で自分の良さをアピールすることの難しさを知りました。先生に見ていただける機会があってよかったと思います。
東郷:電話のかけ方、手紙の書き方、面接の受け方などのビジネスマナーも学びました。座学で勉強した後、実際に電話をかける場面や面接する場面を想定して練習をしました。
澤:面接の練習は、前に出て先生と一対一で行いました。そこで、話すときに目線が定まらないことや、冷たい印象を与えてしまいがちであることを指導していただき、自分では言葉づかいなどにしか気を配っていなかったので、とても勉強になりました。他の受講生の面接の様子を見て学ぶことができたのも大きかったです。
Lan:実習先での立ち振る舞いなども勉強しました。言われたことは必ずメモをし、わからなかったことは聞き直すといった、ビジネスの基本動作が身につきました。日本にはとても細かいマナーがたくさんあって、おおざっぱな私には難しかったですね。
東郷:夏休み中を利用して、実際に企業などに行って実習をおこないます。何百社とある候補から、自分の興味のある職種などに絞りこみ、インターンシップ先を決定します。私は国語の教師を目指しているので、子どもと接する機会のあるような、教育系の機関に絞って探しました。
澤:私は祖母が病院に長く勤めていたことと、以前から医療事務の仕事に興味を持っていたことから、医療系のインターンシップ先を選びました。
Lan:私は興味を持っていた「ホテル」「建設」「飲食」などの業界を中心に探しました。私の場合、運よく第一希望のホテルに受け入れてもらえることになりましたが、なかなか受け入れ先の企業が決まらずに苦労している友人もいました。
東郷:実習先が決定してからは、先方への電話連絡や、提出する書類の準備を行いました。電話のかけ方は授業で練習していたものの、いざやってみると緊張してうまく言葉が出ないこともありました。
Lan:私は敬語の使い方が難しいと感じました。ふだんの生活で使う言葉と、ビジネスの場で使う言葉とは全然違うのだとわかりました。
澤:私も、言葉づかいには不安があったので、授業で配られたプリントを何度も見返して実習に備えました。
Lan:実習先のホテルは、一人ひとりの職員がオールラウンダーとなって様々な仕事をこなすことで、コストカットを実現している企業です。実習でもいろいろな経験をさせていただきました。掃除や部屋のメイキングの仕方を教わって実際にやってみたり、職員のミーティングに参加したりもしました。もう少し実習期間が長ければ、フロント業務などもより詳しく勉強できたかなと思います。ホテルの業務は予想以上にすごくハードで、チェックアウトからチェックインまでの時間にやらなければならないことが多く、みんな汗だくになりながら仕事していました。ゼミで勉強している国際経済の観点からも、世界進出している企業がどのように運営されているのかをとらえ直すことができました。
東郷:私は幼稚園で実習を行いました。園児の安全を確保することが第一の仕事で、いくつかのクラスを回りながら担任の先生の補助をしました。実習中、「すいか割り」体験を実施したのですが、一つの行事に対して園児が安全に過ごせるように、また一人ひとりが楽しめるようにという配慮のもと、先生方が何日もかけて準備をしていたのが印象的でした。幼稚園の先生は「遊んでいればいい」というようなイメージを持たれることがありますが、実際には日々の業務の大変さはもちろん、休み時間を削ってそのようなイベント準備まで行っていて、決して楽ではないことを実感しました。1・2年生のとき、保育園でアルバイトをした経験がありましたが、保育園と幼稚園で違った面も見られて勉強になりました。
澤:私は同じ施設の中で、総務・営業・歯科・内科の4つの異なる分野を経験しました。特にやりがいを感じたのは内科での仕事です。自分には人と接する仕事は向いていないと思っていましたが、利用者の方とのコミュニケーションをとる中にやりがいや面白さを感じ、自分の新たな一面を発見できました。一方で、一番苦労したのも内科での仕事でした。やることや覚えることがとにかく多く、パソコンで打ち込みをする際にミスをしてしまったこともありました。わからないことがあったらすぐに聞かなければいけないと、そのとき身にしみてわかりました。また、総務の仕事では、ケアホームの入居者向けにポスター作りをしたときに、私にとっての「見やすさ」と入居者にとっての「見やすさ」には大きな差があることに気がつきました。常に相手の立場に立って考えることの難しさを感じました。
東郷:私は最初、自分から積極的に行動することができず、迷っているあいだに他の先生方がテキパキと物事を進めるということが多くありました。自分の積極性や行動力のなさを痛感させられました。それに気づいてからは意識的に自分から動くことを心がけ、実習後半には、指示される前に自分から聞きに行って行動に移すということができるようになってきました。
Lan:インターンシップを経験してみて、仕事に対する自分の考えの甘さに気づき、意識が変わりました。最初、時間に間に合えばそれでいいという気持ちで、始業3分前くらいに出勤したら、注意を受けました。時間に余裕を持って出勤することで、その日にやるべきことを整理できたり、気持ちを仕事モードに切り替えられたり、職場のみなさんとプライベートなことを話してコミュニケーションをとることで人間関係が築かれ、仕事も進めやすくなったりと、メリットがたくさんありました。
澤:看護士さんやケアマネージャーさんなど、様々な職種の方がいる中で、自分から話しかけて、コミュニケーションをとることができるようになりました。休み時間などにもいろいろなお話を聞くことができて勉強になりました。
澤:自分の言葉づかいや相手に与える印象などを、客観的な視点から教えてもらえる機会というのはあまりないと思います。マニュアルを読むだけでは気がつかなかったことをたくさん指摘していただけて、実際に役に立ちましたし、それらを改善できたことは自信にもつながりました。また、単発の説明会などではなく、一年間を通して授業があることで、インターンシップや就職に関して常に聞ける環境があることも大きかったです。
Lan:自分のやりたいことがまだはっきりと決まっていないので、インターンシップの授業を通して、いろいろな業界・職種を知り、自分のやりたいことや向いていることは何か、深く考えるきっかけになったのがよかったです。今後、他の業界でもインターンシップを経験してみたいと思っています。
東郷:授業を受けたことで、インターンシップや就職活動をするときに何からやればいいかがわかりました。授業を受けていなかったら、インターンシップに行こうと思っても何から手をつけてよいのかわからず、ここまで効果的な活動はできなかったと思います。基礎的なマナーから順を追って学ぶことができ、着実に自分の力になったと感じました。授業や実習先で学んだことを、来年の教育実習にも生かしていこうと思います。